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専門とする診療内容
肛門疾患(痔核、裂肛、痔瘻など)の診断・治療(日帰り手術を行っています)
胃・大腸内視鏡検査
ポリープ切除などの内視鏡治療
ピロリ菌の除菌治療
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性大腸疾患の診療
便秘症・下痢症や過敏性腸症候群などの消化器全般の診療
肛門の病気でお悩みの方
痔核(イボ痔)、裂肛(キレ痔)、痔瘻(あな痔)など肛門に関する疾患すべてについて診断と治療を行います。肛門領域の疾患は非常に複雑かつ繊細であり、個々の患者さまに合わせた丁寧な診断と、症状を考慮した治療を行うことが非常に重要です。
患者さまが治療をお受けいただき、快適な生活を過ごしていただけるよう、個々の患者さまに見合った治療を提供してまいります。
このような症状の方は当院へ
- 排便時に出血する(紙に血がつく、便器の中が真っ赤になる、便に血が混ざっている)
- 肛門が痛む(排便時に痛む、排便後にも痛みが続く、夜も眠れないほど痛む)
- 排便時にイボのようなものが脱出してくる、それを指で押し戻している
- 肛門がいつもジクジクする/分泌液や膿(うみ)が下着につく
- 肛門のまわりが急に腫れてきて痛みがある
- 肛門のまわりがかゆい
大腸の病気が心配な方
大腸ポリープ、大腸がん、大腸炎などの疾患の診断と治療を行います。
近年、大腸の病気は増加の一途をたどっています。大腸がんや大腸ポリープはいうまでもなく、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)と呼ばれる、腸に炎症が起こる病気なども年々増加し続けています。こうした病気に限ったことではありませんが、がんをはじめとする私たちを脅かす病気は早期に診断できれば、少ない侵襲で治療を行うことができます。早期診断、早期治療に勝る治療法はないのです。特に大腸がんでは、定期的に大腸内視鏡検査を受けることが予防につながります。
苦しいとか、痛いとかいったイメージが先行し、尻込みされている(検査を敬遠されている)方も多いかと思いますが、大腸内視鏡の挿入技術に熟達していれば、鎮静薬なしでも多少の腹部の圧迫を感じる程度で、通常10~15分ほどで検査を終えることができます。
「どうしても怖い」といった気持ちが先立つ方や、過去に開腹歴があり癒着のために、カメラのスムーズな挿入が困難な方には、必要に応じて鎮静剤を使用することも可能で安楽に検査を受けていただけます。
当クリニックでは毎日検査を行っております。検査をご希望される際には、一度お電話でお問い合わせください。
ただし、検査を行うには検査前に1リットルの下剤(腸管洗浄液)を飲んで、大腸をきれいな状態にしていただく必要があります。下剤を飲み始めてから、10回前後の排便があり、ほぼ透明で黄色い液体しか出ない状態になれば、検査を受けることができますが、ここまでに通常2~3時間かかります(便秘がちな方はさらに1~2時間かかることもあります)。このため、当日の朝食は抜いて午前8時30分頃までに来院していただく必要があります。原則的に検査3日前から食事の調整を行っていただいた方が好ましく、特に繊維質のものは下剤を飲んだ後でも腸の中に残ってしまい、検査がしづらくなる場合があり、避けていただく必要があります。
飲んでいただく下剤の味が苦手だったり、たくさんの下剤を飲むことが難しいと考えて、検査を敬遠される方もいらっしゃるかと思いますが、飲んでいただく下剤には、いくつか種類があります。
ある程度の量の水分を飲まないといけないのは変わりないのですが、下剤にもいくつかの選択肢があり、患者さまにとって合ったものを使用していただけます。
例えば、味が苦手で吐き気がして、どうしても味のする下剤が飲めない方には、錠剤タイプの下剤もあり、水やお茶で飲んでいただけます。また、以前検査を受けたときに、なかなかきれいにならずに下剤を追加したりして苦労した経験がある方であれば、前日に飲んでいただく下剤を調節することで、検査当日の下剤の量を減らすことができるかと思います。
個々の患者さまに応じた対応ができると思いますので、心配なさらずにご相談ください。
検査前にご来院いただいた時に、前日の食事や下剤などについて、ご説明いたします。
このような症状の方は当院へ
- 排便時に出血する(紙に血がつく、便器の中が真っ赤になる、便に血が混ざっている)
- 便が出づらい/排便後にも便が残っている感じがする
- 下痢や便秘をくり返す
- 便が細くなって来た
- 検診で便に血が混じっていると言われた(便潜血反応が陽性だった)
大腸内視鏡検査の流れ
- 朝食を抜いて、午前8時30分頃までに来院
- 1リットル以上の下剤を内服し、その後にお水かお茶を1リットル程度飲んでいただきます
- 何回かトイレに行き、便が水様透明になれば検査可能
(ここまでに2~3時間かかります) - 10~15分程度で検査が終わります
- 検査中は多少腹部に圧迫感を感じる程度
- 希望により鎮静剤の使用が可能です
- ポリープが見つかった場合、その場でとることが可能です
※スコープの消毒は、お一人ごとに行っております。日本消化器内視鏡学会のガイドラインにそった消毒方法で、酵素洗剤を用いて丁寧にブラッシングを行い、自動洗浄消毒装置にかけて行います。
※検査当日はお車、バイク、自転車は運転せずにお越しください。
日帰り手術について
クリニック内には日帰り手術室を併設しており、疾患の程度により手術が必要な場合には、入院しないですむ日帰り手術(Day Surgery)が可能です。
痔核、裂肛、肛門狭窄、痔ろう(単純痔ろう、複雑痔ろう)、血栓性外痔核、肛門周囲膿瘍、肛門皮垂(スキンタグ)、膿皮症、尖圭コンジローマなどは日帰り手術が可能です。
特に、内痔核(いぼ痔)については根治手術の他、ジオン注射(硬化剤)による出血や痛みの少ない治療法も行っています。
※症状により差はありますが、手術はおよそ10分~30分程かかります。
※手術後、経過観察のため、後日ご来院いただく必要がございます。詳しくは医師・スタッフまでお問い合わせください。
肛門疾患について
痔核(いぼ痔)
肛門にいぼ状の膨らみができた状態で、痔のなかで多いタイプです。内痔核と外痔核の2種類があります。
「内痔核」ってどんなもの?
肛門内部と出口付近には静脈叢と呼ばれる毛細血管が多く集まった部分があります(肛門内部のものを内痔静脈叢といい、出口付近のものを外痔静脈叢といいます)。
このうち、肛門内部のものが内痔核に相当します。ただし、これがあるからといって、直ちに病的な状態というのではありません。内痔核にはもともと、肛門をふんわりと閉じるためのクッションとしての生理的な役割があるのです。
この静脈叢が変化して静脈瘤となり、さらにこれを支えている筋線維やその他の構造が弱くなってくると、いきんだりしたときに、肛門外にいぼ(内痔核)が容易に脱出してしまうようになります。こうなると、いよいよ病的な状態といえます。これを「脱肛」といいます。こうした変化はゆっくりと起こってくるものです。
どんな症状があるの?
はじめは自然に肛門の中に戻りますが、次第に手で戻さなければ戻らなくなります。脱出してくるものは、触るとこんにゃくのように柔らかく、脱出してくると、肛門にものが挟まっているような不快な感覚がでてきます。
こうした変化(静脈瘤とその周囲の結合組織の変性)は不可逆的なもので、一方通行で徐々に進行してしまうのです。
また、静脈瘤という、いわば血管のかたまりなので、出血がみられることもあります。出血の程度はさまざまで、紙につく程度から、ほとばしるような激しい出血もときにみられます。
ただし、痛みを感じないのが通常です。
内痔核はどうして痛くないのか?
これは、内痔核が、痛みを感じる知覚神経が通っていない場所にできるからなのです。 痛みを感じとる知覚神経は歯状線(直腸粘膜と肛門上皮の境目を「歯状線」と呼びます)より下側の皮膚部分の静脈叢に多く通っていて、歯状線より上の直腸粘膜の静脈叢周辺には知覚神経が分布していません。 内痔核は歯状線より上の直腸粘膜側にできるものなので、これが大きくなることにより違和感を覚えることはあっても、痛みはありません(※ただし、内痔核のなかには激痛を伴う嵌頓痔核という病態もあります)。
その治療にはどういうものがあるの?
不可逆的な変化なので、薬では元の状態に戻すことが期待できませんが、放置しておいても悪性に転化することはないため、必ずしも完治を目指す必要はありません。
とくに、出血などの症状は軟膏を適宜使用することでほとんどよくなります。
ただ、排便時に脱出してしまい、指を使って押し戻すような状態になったり、排便の時以外にも容易に脱出してしまい、不快感が強くなり煩わしさが募るようであれば、手術をお勧めします。
手術には、病的となった痔核を外科的に切り取る方法と、薬液を患部に注射する事により硬化させ小さくする注射療法などがあります。
外痔核(とくに血栓性外痔核)ってどんなもの?
下痢や便秘などで強くいきんだ場合に、肛門の出口付近の静脈叢(外痔静脈叢)の一部の毛細血管が破綻し、血栓(血のかたまり)ができてしまう病態です。いわゆる血マメができた状態です。
冷えなどが誘因になることもあります。
ある日突然、肛門の外側にコリッとした硬いしこりができ、痛みを伴います。
なぜ外痔核は痛みをともなうのか?
これは、外痔静脈叢の領域が、歯状線より下側の皮膚部分に相当し、ここには痛みを感じとる知覚神経が通っているためです。
どのように治療するの?
ほとんどは軟膏などを使うことにより、血栓は徐々に吸収され自然に小さくなっていき、手術をしないでも治療できます。
※嵌頓痔核について
内痔核は、通常激しい痛みを感じませんが、なかには激しい痛みを伴う内痔核もあります。それが嵌頓(かんとん)痔核です。内痔核が進行すると、歯状線を越えて肛門外に脱出するようになりますが、嵌頓(かんとん)痔核は、脱出した痔核が戻らなくなり、血栓ができたもので、大きく腫れあがり、激しい痛みを伴います。
嵌頓痔核の場合は、直ちに手術というわけでないのですが、緊急処置が必要なので、速やかに病院を受診することをお勧めします。
裂肛(切れ痔)
「裂肛」ってどんなもの?
「切れ痔」と呼ばれる病気で、便秘となり硬い便が無理に通過したり、下痢のため勢いよく便が通過し肛門部に強い負荷がかかることにより、肛門の出口付近が切れた状態のことです。
その症状は?
歯状線より下にある肛門上皮(ここには痛みを感じとる知覚神経が多く通っています)が切れるため、排便時に痛みを感じ、出血もみられます。
裂肛は、女性に多いといわれています。
通常、出血はトイレットペーパーにつく程度で、多くはありません。
ひどくなると、痛みは排便時だけでなく、排便後にも続くことがあるのが特徴です。
何に気をつければよいの?
悪化しやすいため、早めに受診していただく必要があります。というのは、一度裂肛になってしまうと、その強い痛みから排便を我慢してしまい、その結果便秘となり、いざ排便するときには硬い便が患部を傷つけ、さらに症状が悪化するといった、悪循環に陥ってしまうことがあるからです。
治療はどうすればよいの?
治療としては便通を整えた上で、まず軟膏での治療(これを保存的治療といいます)を行います。
裂肛には急性裂肛と慢性裂肛があるますが、とくに急性裂肛は保存的治療により数日でよくなります。一方、慢性裂肛になると、肛門が狭くなり治りにくくなることもあります。また裂肛が慢性化して潰瘍になり、皮垂(みはりいぼ)や肛門ポリープといった突起が出現する段階になると薬で治すのは困難となります。この場合には手術をお勧めしています。
痔瘻(痔ろう)
「痔瘻」ってどんな病気?
肛門周囲に膿がたまり(この状態を肛門周囲膿瘍といいます)、肛門のまわりが腫れて激痛が続いたり、38~39℃の発熱を伴う場合もあります。
たまった膿をメスなどで切開し外に出してあげると症状は楽になりますが、膿のトンネルが出来上がってしまいます。このように、細菌の感染によって肛門内が化膿し、肛門の内と外がトンネルでつながった状態になると、痔瘻(痔ろう)と呼ばれます。
痔瘻ができてしまう機序
肛門上皮と直腸粘膜との境目には、肛門陰窩という小さなくぼみ(ポケットのようなもの)があります。その外側には顕微鏡でわかる程度の肛門腺(粘液を出す役割をもっています)があるのですが、下痢などによって肛門陰窩から便が入り込んでしまい、ここに便中の大腸菌など、増殖能が旺盛な細菌が感染し膿瘍を形成すると、肛門周囲が大きく腫れ上がり、ズキズキとした激しい痛みを伴うようになります。
普段は、肛門陰窩に便が入り込むことはないのですが、下痢をしていると入りやすくなります。
このように、痔瘻とは、肛門陰窩と皮膚との間に出来たトンネルのことなのです。
その治療は?
痔瘻は原則として手術治療が必要となります。
痔瘻を放っておくと複雑化することがありますので、早目の治療が必要です。
妊婦の肛門疾患
妊娠期には腹圧が上昇し、うっ血しやすいことから、痔核や裂肛がひどくなる傾向があります。
痛みが激しくて耐えがたいこともありますので、可能であれば妊娠前にしっかりと治療しておいた方が無難です。
出産後しばらくすると、症状は自然と軽快することが多いです。
小児の肛門疾患
排便のときに痛がる、出血するという訴えの多くは裂肛が原因です。
便が硬いことが多いので緩下剤で便を軟らかくし、軟膏をしばらく使用すれば、たいてい早く治まります。
乳児期の男の子で、肛門の周りが腫れて膿んだりする場合がありますが、これは「痔瘻(痔ろう)」が原因です。
膿みがたまったら、その都度膿みを外に出すようにしてあげると、ほとんどの場合自然とよくなります(これは成人にできる「痔瘻(痔ろう)」と異なる点です)。
中学生くらいになっても膿が出続けるようなら、手術も考慮する必要があります。
肛門の病気は、専門性が高く奥が深い領域であり、十分な診療経験に基づいた診断と状態に合った治療を受けることが非常に重要です。
また、排便時の出血は必ずしも「痔」が原因とは限りません。
大腸の領域では、大腸ガンが年々増加の一途をたどっており、その検診の重要性が叫ばれているにもかかわらず、検査に対する抵抗感から検査を敬遠してしまう方が多いのが実情です。
出血などの症状があって不安を抱えているようでしたら、怖がらずにまずはご相談ください。